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     鉄」と「銅製錬」&「鋳銑鉄くず」の出会いから  鉄の起源・たたら製鉄の始まりを考える


≪1504feroots04.htm≫]
4. 鉄と銅製錬の出会いから 鉄の起源・たたら製鉄の始まりを考える 
ユーラシア大陸 メタルロードを東遷して日本へ伝来した製鉄技術
キプロスやイスラエルなど青銅器時代の銅の主産地と重なる西アジア 初期鉄器の分布
そして ヒッタイトの時代をへて、実用鉄器の時代が始まり、
ユーラシア大陸の草原のメタルロードを東遷し、やがて日本へ至る

そのはじまりは銅製錬の現場での「銅」と「鉄」の出会い
高温溶融の状態でも混じり合わぬ銅と鉄  それぞれか゛互いを排除して集合して銅・鉄の塊を作った
それが 塊錬鉄製鉄法の始まりとなったのか???
 


製錬法として 野だたらの話はあっても 塊錬鉄法の原始プロセスが見えてこず、謎となっていた製鉄プロセスの起源。
1500℃に迫る鉄の溶融温度近くの高温を還元雰囲気で安定して得るプロセスがなければ、この塊錬鉄製造法の謎は解けないと考えていました。

でも その出発鉄原料を溶融点の低い鋳鉄塊に求めると、製錬温度は一機に1150℃前後へ下げられる。
また、その出発原料の集積はすでに大量生産されている銅製錬の製造現場の副産物に求められる。
しかも、銅製錬も鉄製錬も同じ酸化還元の同じプロセスである。
一遍に突破口が開けてゆく感じがする。

金属器時代の幕開けを作りだした銅製錬の現場で発生する大量の銅滓の中に銑鉄の小鉄塊が隠れている。
同じ銅の鍛冶現場で、この小鉄塊を取り出し、集めて、鍛造成形すれば鉄素材に生まれ変わらせることができた。
非効率かもしれないが、人工鉄が生まれた。 
でも この青銅器時代 鉄は金にもまして まして銅からははるかに高い貴重品である。 
銅の生産現場で鉄素材の開発にも技術を磨いたに違いない。
西アジア地中海沿岸のキプロスやイスラエルなど銅の生産地・交易地が鉄の生産地になった所以であろう。

また、日本のたたらの源流でいえば、鉄器加工の鍛冶技術や銅の製錬加工技術は習得済み。 
大陸から求めた鋳造鉄斧や大陸の鉄素材を輸入して鉄器に加工することも始まっている。 
小鋳鉄塊片が容易に手に入れば、鉄素材を輸入せずとも はるかに自由度のきく鉄素材を容易に作ることができる。

そんなビジネスを半島貿易の中心地で交易の中心だった壱岐カラカミ遺跡の人たちは始めた。 
半島南岸に数多くの鉄鍛冶工房があり、交易をやっていたからこそのクズ銑鉄を製鉄原料とした鉄素材作りであろう。
でも 朝鮮半島の南岸の鍛冶工房を含めれば、これで 原料から製品まで一貫の製鉄がつながる。

壱岐のカラカミの人たちは、たぶん朝鮮半島沿岸の鍛冶工房から製鉄原料となるくず鋳鉄片を集め他のだろう。
既に銅製錬の現場に小鋳鉄塊があることを知っていたのかどうかは わからないが・・・・・。

また、同じく 日本でこの銅製錬の現場に小鋳鉄塊が副産物としてできていることを知っていたかどうか不明であるが、
野だたらの伝承の中にある「さなぎ」や「ささら」の言葉には高師小僧や草木の根に吸い寄せられた褐鉄鉱などの
製鉄原料を思い浮かべていましたが、鉄滓の中にあるこの小鉄塊にも可能性がある。
銅製錬の場とのつながりが、人工鉄のルーツ それがたたら製鉄の源流にも・・・・
興味深々の2015年 和鉄の道  夢のあるうれしい製鉄起源の突破口になれば・・・・・と。
                2015.3.15.  by Mutsu Nakanishi


 
「鉄」と「銅製錬」&「鋳銑鉄くず」の出会いから 鉄の起源・たたら製鉄の始まりを考える
    3月大阪九州大学宮本一夫氏「壱岐カラカミ遺跡から出土した製鉄炉」についての講演
       魏志倭人伝の時代の他に類例のない特徴を持つ壱岐カラカミ遺跡出土の地上炉は
    「くず銑鉄を第三の製鉄原料として鉄素材を作った製鉄炉?」たたら製鉄の起源にせまるのか?
. 「鉄」と「銅製錬」&「鋳銑鉄くず」の出会いから  鉄の起源・たたら製鉄の始まりを考える
1. 鉄の起源を探る 西アジアで出土した世界最古の小鉄塊は銅鉱石の製錬過程の副産物か?
2. 魏志倭人伝の時代 1〜3世紀 壱岐からかみ遺跡と出土した地上炉まとめ
3. 銅と鉄の出会いとその面白い性質が人工鉄の起源を育んだのか?
4. 鉄と銅製錬の出会いから 鉄の起源・たたら製鉄の始まりを考える
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   【参考】

   この鉄の起源と銅製錬の関係をまとめている時に 
   姫路で「鉄のふしぎ博物館」を開かれている衣川良介さんから送っていただく「むらの鍛冶屋-夢通信-」3月号の
   兵庫県生野銅銀山を紹介する「銀の馬車道2」の記事のなかに、
    「銅製錬で出た滓(カラミ)が生野の町中にある教徳寺の石垣に使われていて、石垣に磁石がくっつく」
   との記事をみつけました。
      ◆ 衣川良介さん「むらのの鍛冶屋-夢通信-」 http://www2.memenet.or.jp/kinugawa/frame1.htm
 
  . わたしにも、山口長登銅山で拾ったカラミに磁石がひっつき、不思議がった記憶がある。
引き出しを探し回って、山口長登銅山で採取した銅カラミ片に磁石を近づけると
ものの見事にくっつきました。

銅鉱石中には主成分の銅とともに大量の鉄が含まれ、銅製錬過程でこの銅鉱石中の鉄も
還元され、カラミ中に分離される。
残念ながら、かラミ中の鉄は細かく分散しているのか 割っても 目視ではよく判りま
せんでした。


 

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関連和鉄の道・Iron Road  by Mutsu Nakanishi
1.  聴講まとめ by Mutsu Nakん元され、2015.2.14.
 第18回アジア歴史講演会「鉄の起源の探究」成oad 果報告 愛媛大 東アジア古代鉄文化研究センター
 青銅器時代の西アジア 鉄の起源と展開「金属器時代の黎明  -価値と技術- 」
  https://www.infokkkna.com/ironroad/2015htm/iron11/1503tetsunokigen00.htm
2.  弥生時代中・後期の壱岐の半島交易拠点集落「カラカミ遺跡」資料まとめ  2015.1.1.
   ≪たたら製鉄の謎  たたら製鉄のルーツに迫る≫ 
「南北市糴」朝鮮半島との交易で栄えた壱岐で 弥生時代中・後期の製鉄炉が初めて出土
  https://www.infokkkna.com/ironroad/2015htm/iron11/1501karakami00.htm
3.  金属にも「水」と「油」がある -「銅」と「鉄」の二相分離 -  2014.8.1. 
  https://www.infokkkna.com/ironroad/2014htm/2014iron/14iron09.pdf
4.
 日本最古の銅山 奈良の大仏の銅を産出した「長登銅山」を訪ねて
「4. 長登銅山の銅鉱床・銅鉱石の変遷銅製錬技術」 

 
参 考 資 料
1. 第18回アジア歴史講演会「鉄の起源の探究」成果報告 資料 2015.2.14.
 青銅器時代の西アジア 鉄の起源と展開「金属器時代の黎明 -価値と技術- 」愛媛大 東アジア古代鉄文化研究センタ
2. 講演動画「カラカミ遺跡から見た壱岐の弥生時代 九州大学 宮本一夫教授 壱岐市立一支国博物館 
    https://www.youtube.com/watch?v=1qivxNe62AE#t=157
3. 「古代史ぎっしり壱岐」大阪中之島 朝日カルチャーセンター公開講座 資料 2015.3.1.
4. 鉄と銅の生産の歴史―古代から近世初頭にいたる  佐々木稔・赤沼秀男
5. 「古代西アジアにおける銅冶金術の歴史」三宅裕『Journal of MMIJ』 Vol.124 (2008) No.9 
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/journalofmmij/124/9/124_9_554/_pdf
6. 銅製錬の系統的調査 酒匂幸男  国立科学博物館産業科学史資料情報センター
    sts.kahaku.go.jp/diversity/document/system/pdf/020.pdf
7. 冶金の曙 自然銅の利用 & 銅製錬
  http://www.geocities.jp/e_kamasai/index.htm
 
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                    1504feroots04.htm  2015.4.5. by Mutsu Nakanishi