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福島県武井製鉄遺跡群の近接する沢入B・大清水Bの両遺跡が示すこと
古代 たたら製鉄の革新技術「踏み鞴」の実用性を試し、実用展開のさきがけか??
それが 金沢・武井製鉄遺跡群に出現した踏み鞴付き竪型炉 


 2. たたらに用いられた「鞴」の歴史 インターネット検索より 
       
      皮鞴 → 踏み鞴 → 天秤鞴 → 水車へ
    
陸奥南の古代製鉄遺跡群のたたら製鉄炉に踏み鞴が付いて登場する8世紀半ば
いつどこで、たたら製鉄で 踏み鞴が使われたか? 明確にはなっていないが、
文献によれば、10世紀の「倭名類聚抄」(934年)では「皮鞴」と区別するために「踏鞴」を「たたら」のこととし、
また、たたら遺跡遺構からは、この陸奥南の製鉄遺跡群や近江など8世紀頃には踏み鞴が現れ、たたら製鉄の革新に大きく寄与する。
8世紀半ば踏み鞴が付いて登場する 陸奥南の古代製鉄遺跡群のたたら製鉄炉は
踏み鞴付き製鉄炉のさきがけではないか?? ・・・・・・
 

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221920砂鉄探し 221920砂鉄探し
皮ふいご たたら想像図
岩手県小林家に伝わる製鉄絵図
踏み鞴 「日本山海名物図会」より 
たたら 天秤鞴
たたら製鉄の歴史は鞴の発達と深く結びついている。
◎ 皮ふいご わが国で最初に記録に現れる鞴は天羽鞴という皮鞴。
               真名鹿(まなか)の皮を全剥ぎにして作ったとされる(日本書紀)。
        しかし、その具体的な構造は、
               岩手県大槌町小林家「製鉄絵巻」や間宮林蔵の「北蝦夷図説」とに見るくらいしかない。 
◎ 踏み鞴  次に登場する踏み鞴については、「倭名類聚抄」(934年)では「皮鞴」を「ふきかわ」とし、
        これと区別するために「踏鞴」を「たたら」のこととしている。
               そして踏鞴が記録・絵図に現れるのは「東大寺再興絵図」で、銅の溶解に使用されたと紹介されている。
        18世紀中頃(1754年)に書かれた「日本山海名物図会」の「鉄蹈鞴」に
               たたら製鉄に用いられている踏み鞴が描かれる。
◎ 天秤鞴  そして、17世紀頃には天秤鞴が発明されたという。
たたら製鉄炉の遺構から踏み鞴を検討すると 
8世紀頃には たたら製鉄遺構の製鉄炉に隣接して踏み鞴跡と見られる遺構が出土する。
陸奥南の古代製鉄遺跡群では 踏み鞴付竪型炉はその後、消えてゆくのであるが、
もし、鞴付き箱型炉が先に登場していたならば、
砂鉄を原料とするたたら製鉄では、難点のある踏み鞴付竪型炉が登場することはなかったはず。

これらから、踏み鞴が日本のたたら炉に登場する時期は明確ではないが、
8世紀中頃の武井製鉄遺跡群の竪型炉に装着された踏み鞴が、
その後のたたら製鉄の踏み鞴に大きな影響を与えたともいえるのではないか。。。。。

勝手な問題提起ではあるが、たたら製鉄の安定量産の革新技術である「踏み鞴」は そのルーツがどこにあるのか
不明なるも、この陸奥南の金沢・武井製鉄遺跡群で実用化が試され、
その後 広くたたら製鉄に普及していったのではないか・・・・。
この金沢・武井製鉄遺跡群が、踏み鞴付たたら普及の出発点とは考えられないか・・・・
武井製鉄遺跡群 沢入B・大清水Bの両製鉄遺跡は踏み鞴がたたら製鉄へ与えたインパクトを考える重要な遺跡
そして、踏み鞴の普及を契機に鉄の生産量の拡大と共に鋳物銑をベースにした多様な鉄素材作りが展開して
鉄素材の多様化・高品質化にも道を開いてゆくことになってゆく。
そんなことをも考えさせてくれる古代の金沢・武井製鉄遺跡であると思いをめぐらせている。

                                     2013.8.15.  by Mutsu Nakanishi

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【まとめ要約の資料】
福島県武井製鉄遺跡群の近接する沢入B・大清水Bの両遺跡が示すこと 
                                    by Mutsu Nakanishi
1. 陸奥南の古代製鉄遺跡群
金沢・武井遺跡群の製鉄炉の変遷と踏み鞴付き竪型炉の登場
2. たたら製鉄 踏みふいごの登場時期を探る インタネット検索より
  
参考1. 「発掘された日本列島2013展 -新発見考古学速報- 」
   昨年度発掘された製鉄関連遺跡の紹介  2013.6.15. 
参考2. 和鉄の道口絵2007  口絵3.& 口絵4 
古代製鉄炉構造の変遷と地方拠点に大製鉄コンビナート出現

 口絵2007  3.古代製鉄炉の変遷  たたら炉の大きさと構造の変遷

 口絵2007 4. 8世紀 モデル化された量産古代製鉄炉を完成   
                      地方拠点に大製鉄コンピナートが出現 
    https://www.infokkkna.com/ironroad/dock/iron/7iron00.pdf

参考3.  和鉄の道 黄金吹く行方製鉄遺跡群
 福島県 原町  蝦夷征伐の兵器庫 金沢製鉄遺跡
    https://www.infokkkna.com/ironroad/dock/iron/jstlaa04.pdf
 


  
【 整理とりまとめ参考資料】 
1. 平成22年東北芸術工科大学シンポ予稿集「東北古代の変動- 火山灰と鉄 -」
  村上恭通「東北古代製鉄の東アジア的位置づけ」
2. 平成22年東北芸術工科大学シンポ予稿集「東北古代の変動- 火山灰と鉄 -」
  飯村 均「陸奥南部における古代鉄生産」
3. 岩手博物館の研究報告28号 2011.3月 P13-34  
  関博充・女鹿潤哉・赤沼英男「-宮城県柏木遺跡検出竪型炉の再検討を通して-」
4. 和鋼博物館 和鉄スポット解説 「ふいご」 
   http://www.wakou-museum.gr.jp/spot5.htm 
5. 日立金属 > たたらの話 > ふいご(吹子、鞴)
  http://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/nnp020611.htm

【そのほか検討した参考資料】
1. 福島県埋蔵文和財センター研究紀要 2010.
 菅原祥夫「宇多・行方群の鉄生産と近江」
2. 福島県埋蔵文和財センター研究紀要 2005.
 福島雅儀「炉壁・羽口・鉄斎からみた古代製鉄炉の技術革新」
3. 福島県埋蔵文和財センター研究紀要 2008.
 安田稔「金沢地区製鉄遺跡群の踏み鞴規模の変化について」
4. まほろん常設展シート14 
古代の鉄作り-相馬地方の製鉄遺跡-
 

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