home page top 新着monthly page top 2011四季折々・from Kobe 2011たたら探訪 2011風来坊 風来坊 全file DOCK 全ファイル収蔵庫 top
.

.

山口市吉敷  萩焼陶芸家 田中講平さん自作の登り窯初窯・本焚きの見学記
萩焼陶房「陶房葉月」の登り窯 初窯の一日 【抜粋】 2011.1.15.  [1103tnkahatsugama01.htm]



登り窯 初窯・初焚き 
田中さんの陶房葉月 写真中央の山麓 少し上の高台にある 

【1月14日 作品の窯詰め 初窯焚きの準備】

1月14日 初窯を明日に控えた陶房葉月を久しぶりに訪れる。
山口市湯田温泉から秋吉台・美祢に延びる国道に入ってすぐ左手の丘陵地の山腹に田中さんの陶房「陶房葉月」が見えてくる。
国道から見るとちょうど小さな二つの丘の張り出しの間の奥まった高台。 登り窯の位置としては 風が山へ駆け上がる絶好の通り道に見える。後で田中さんに聞くと「風の通り道」意識したと。国道沿いにある「陶房葉月」の看板のところで左手に曲がって 木々に囲まれた丘へまっすぐ登ると田中講平さんの陶房「陶房葉月」である。
陶房の建物の背後の山際に築造された登り窯がある。
挨拶もそこそこに初窯を明日に控え、窯詰の作業が急ピッチですすむ登り窯をみせてもらう。
     陶房葉月の山際 風の通り道に沿って築かれた登り窯
田中さんの登り窯は一列に並ぶ窯が2基と比較的小型であるが、随分大きい。 また、築造過程ではさほど気にならなかったが、登り窯の傾斜が随分大きい。立派な登り窯である。
一番手前の大口の焚口に木片などを入れて燃やして、煙突へ抜けてゆく炎によって一の窯・二の窯を予熱し、その後 作品の詰められている一の窯・二の窯の窯口から直接薪を投げ入れて高温に焚き上げる。
そして、大口からの窯焚きで登り窯全体を約900℃程度まであげた後 大口の焚口を閉じ、今度は登り窯の横側にあり、作品の窯詰め後 封鎖されていた一の窯・二の窯の窯口の封を解き、順次、さらに高温に焚き上げて作品を焼き上げてゆく。
その窯口は煉瓦を外して、薪が投げ入れられる程度に小さく焚口が開けられ、薪を投げ入れては閉じる素早い作業の繰り返しによって 雰囲気を調整しつつ、窯の温度をさらに上げ作品を焼き上げる。
萩焼の焼き上げ温度はほかの産地での焼き物の焚き上げ温度が1300℃越えと高いのに比べると比較的低く1200℃越え程度であるという。
ここにも萩焼の特徴がある。
建物の横の材料置き場や、登り窯に沿って 燃料の木材端や薪がうずたかく積まれ、準備されている。その量の多さにもびっくりしました。
田中さんの話によると
「この登り窯で丸一日焚き続けて作品を焼き上げる。表の物置場や登り窯の脇に積み上げた材木端の山も薪も今回でほぼ全部使うことになる」という。
そんなに使うのかとびっくりしましたが、一昼夜丸一日焚き続けると聞くと納得。
「登り窯は一年に数度しか焼けない」「登り窯のコスト考えると登り窯では焼けない」とか 何度か耳にしたことがありますが、準備する作品量も準備する燃料 そして 焚き続ける体力。 そのスケールは大変だ。
急ピッチで窯詰めが進む登り窯の窯口。「窯の中 入ってもいいよ」と窯の中からひょいと窯詰め中の田中さんが顔を出す。
窯を覗くと 隙間なくびっしりと作品が詰められているが、まだまだ 窯詰しないといけないらしい。また、窯詰途中の煉瓦積みの壁が美しく、アーチも本当にきれい。 昔 建設中の高炉内部の煉瓦積みの美しさに見とれたのをふっと思い出す。

陶房葉月 登り窯
    「一の窯」と「二の窯」の窯口
窯焚きに使われる材木端と薪の一部
陶芸家はみんな こうなのだろうか・・・・とひとしきり煉瓦積みの内部に見とれる。
田中さんのアイデアと美しく煉瓦を積み上げた器用さにも本当にびっくり。

  1月14日 登り窯の初窯・本焚きを明日に控え、急ピッチで窯詰が進む

|< 先頭頁 << 前頁< 1103tnkahatsugama01.htm >次頁>> 最後頁>|  萩焼&登り窯[解説]

.
home page top 新着monthly page top 2011四季折々・from Kobe 2011たたら探訪 2011風来坊 風来坊 全file DOCK 全ファイル収蔵庫 top
.


 2011.3.5.   1103tnkahatsugama01.htm   by Mutsu Nakanishi